「終着駅シリーズ37」 ネタバレ 感想～岡江さんのいない終着駅

停年のない殺意

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「停年のない殺意」（「完全犯罪のエチュード」）森村誠一

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殺害された伊庭崇彦（堀井新太）は、亡くなる前祖母（赤座美代子）のもとを訪れ、会社を辞めたいと話していた。
「俺、爆弾なんだ。
強力だけど少し悲しい爆弾」
爆発してしまいそうだから会社を辞めたいと・・・。
ほどなく崇彦の母・頼子（七瀬なつみ）と崇彦の会社の社長・市野清明（国広富之）は愛人関係にあることがわかった。
そして崇彦に父は国広富之だった。
牛尾正直（片岡鶴太郎）が七瀬なつみに聞き込みに行く。
最初は否定したものの崇彦の出生の秘密を告白する。
七瀬なつみが崇彦の妊娠に気づいた時、とても嬉しかった。
しかし国広富之はすでに銀行のご令嬢との縁談が決まっていた。
国広富之から結婚するか中絶するか二者択一だと説得された七瀬なつみ。
前から自分に好意を抱いていた悌二（尾美としのり）と結婚することにした。
この人なら騙せる。
そう思って生活してきた。
崇彦の死後、尾美としのりは崇彦が4歳の時に真実に気づいていたと離婚届に捺印して渡されてしまった。
愕然とする七瀬なつみ。

崇彦が殺害された日、国広富之と七瀬なつみは一緒にいた。
崇彦から電話があり、そそくさと一人東京へ行く国広富之。
もーさん（片岡鶴太郎）と七瀬なつみが国広富之の自宅に行く。
事件の日なにがあったかと問いただされた国広富之は告白。
崇彦から会社を辞めたいと言われたこと。
国広富之から小遣いだともらった金も全部返却。
崇彦はすでに国広富之が実の父親だと知っていた。
本当の父親とはどういうものか知りたくて国広富之の会社に入社した。
本妻との息子はバイク事故で亡くしているので、崇彦のことを大事にし跡取りにしたいと思っている国広富之。
だが崇彦は、母親と自分を最低な形で捨てたくせに！と国広富之をなじった。
国広富之は尾美としのりが崇彦を殺したのだ。
これは復讐なのだと言う。

犯人は尾美としのり
7.5㎝の幸せ。
尾美としのり一家がそう呼んでいたケーキ。
崇彦死亡の日、そのケーキを高木べーカリーで購入していたのは尾美としのりだった。
しかしもーさんらが臨場したときあのケーキがなくなっていた。
崇彦はケーキを持って亡くなっていた。
第一発見者の妹・晴美はそのケーキは自分のために兄が買ったのだと思っていた。
証拠を隠蔽するつもりはなくケーキを手に取ってしまった。
晴美はもーさんから兄も同じケーキを冷蔵庫に入れていたと聞き、このケーキを買ったのは兄ではないことを知る。
朝早く旅行に出掛けた母はケーキを購入することはできない。
ならば父がケーキをかったのだ。理由はわからないが父の共犯者になることを決めた晴美。

崇彦を立派に育てることが国広富之への復讐だと思い、勉強を強要し、運動を強要した。
中学にあがるころには崇彦は口をきいてくれなくなった。
大学生になったころ関係は良好になっていた。
建築という同じ趣味を持っていたのだ。
崇彦が一流大学へ行き大学院に進んだころ国広富之に会わせた。
国広富之と本妻の子は三流大学に行き留年していた。
「勝った！！」
そう思った。
尾美としのりが定年になったころ、崇彦が国広富之の会社に入社。
報告をうけていなかった尾美としのりは愕然とした。
国広富之が崇彦は自分の息子だからこれからはそう接したいと言われてしまう。
2年前、崇彦は国広富之の息子から真実を聞いていたらしい。

事件当日、晴美が崇彦から呼び出されたと知る。
「初めはケラケラと笑って最後は泣くという”面白いもの”を見せてやる」
と言われたと聞いた尾美としのりは崇彦が晴美に真実を知らせるのではないかと気が気では無かった。
晴美より先に崇彦と会った尾美としのり。
「鑑定書を見せないでくれ！」
「そんなもの見せるつもりはない！」
二人はもみ合って崇彦は階段から落下。
崇彦は起き上がって歩き出した。
だから、大丈夫だと思った。
まさかあんなことになるなんて。
「あなたは嘘をついている。」
鑑定書は二枚あった。
晴美の父親もまた国広富之だった。
真実を国広富之から知らされて呆然とした。
国広富之も驚いたが産んだ母親だって気づいていなかったんじゃないかと言う。←気づいているやろ。
晴美のほうはいらないから、崇彦は欲しいと勝手なことを言う国広富之。
その事実を晴美が知ったら、晴美が傷つくそう思った尾美としのりは、どうしても鑑定書を晴美に見せたくなかったのだ。
「なんで信じてやれなかったんですか？」
鑑定書はもうこの世に存在しない。崇彦が燃やしていたのだ。

崇彦は血の鎖、DNAの鎖を断ち切るつもりだった。
崇彦は国広富之に
「今度は僕がおたくを捨てる番だ。
社長は僕が子供の頃になりたかった職業を知ってますか？
初恋の女の子の名前は？
この世の中で一番苦手な名前は？
一番好きなケーキは？
わかったんです。僕。
血とかDNAなんかは関係ないってことに
大事なのは思い出とか記憶とか
そういうのを共有していることなんだってこと。
つまり僕にはもちろん晴美にとっても父親は一人しかいないってことですよ。
思い出とか記憶とか共有しているのはあの人しかいませんから。
あの父親しか。」
ときっぱりはねつけていたのだ。
崇彦は八王子に帰るつもりだだった。
「オヤジに家を建ててやる約束をしているし、親孝行をする。」
あの時に尾美としのりが息子を信じていれば。
崇彦も「八王子に帰るつもりだ」と言っていれば・・・。

七瀬なつみが最低じゃないか！！！
25年以上ずっと国広富之と付き合っていたのか。
女友達と旅行すると言って、国広富之と逢い引きってどういう神経してんだろうか。
妹が国広富之の子供だってことも知っていたと思う。
心当たりがあるのは七瀬なつみしかいないんだし。
真実を知って息子も娘も母のことを憎まないのだろうか。
国広富之が息子と母を捨てたが、母ははなから夫を愛していなかったわけだし。
「後悔した人」と七瀬なつみを表現するにはいささか無理がある。
後悔という言葉は似合わない。
罪深すぎる。
死ななくて良い人が亡くなってしまい、罰せられなければいけない人間がのうのうと生きている。
今度こそ国広富之と別れたのかスーパーで働いていたけど・・・ねぇ。
赤座美代子さんも嫁を憎むだろうねぇ。

留置所に入った尾美としのりさんが気の毒過ぎる。
しかし・・・この事件は逮捕されても不起訴になるような気がする。
いやこれで逮捕はありえなくないか？
確かに崇彦は打ち所が悪かったのだと思うが、尾美としのりの前で亡くなったわけでもないんだし、救急車を呼べなかったから。
保護責任者遺棄にも問えないような気がする。
「停年のない殺意」という表題ですが・・・・殺意はどこにもなかったけどねぇ。

国広富之の会社はどうなるんですかね？
20年以上も他の男におしつけた息子を今更金の力で親子関係になるとか言い出すの。
まぁ、国広富之と七瀬なつみはある意味お似合いなんだろうけど。
こんなにクズカップルなら、もう再婚して欲しいけどね（苦笑）
そこまでいけば天晴ですよ！
あ・・・で面白いものって「7.5㎝の幸せ」ケーキでした・・・。
そんなん・・・もう・・・（苦笑）

岡江さんが亡くなって1年。
まさか新作を見るとは思いませんでした。
思い起こせばこのシリーズの初期から中盤まで、岡江さんは冒頭からご出演で、岡江さんが絡む人は大抵犯人だという偶然も多かった。
それから夫にヒントを与える役。
最後はご出演のシーンが少なくなってしまって。
今回はもーさんも妻を亡くして半年という設定でした。
これまでの若々しく笑顔が素敵ではつらつとした岡江久美子さんの回想シーンがたくさん流れ、まだまだ岡江さんが亡くなったと信じられないです。

今日はずっともーさんの単独捜査だった気がします。
コロナに気をつけながら撮影するにはあまり登場人物を増やせなかったのだろうと推察します。
そんなことより片岡鶴太郎の後ろ髪が長いのが気になった。
笑かそうとしているのか？？
ヨギーなヘアスタイルなんだろうか。←なんじゃそりゃ
真剣な顔をしていてもあの後ろ髪で笑ってしまうよ。

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キャスト
牛尾正直（片岡鶴太郎）
伊庭悌二（尾美としのり）
伊庭頼子（七瀬なつみ）
伊庭崇彦（堀井新太/生駒 星汰）
伊庭晴美（山谷花純）
大上刑事（東根作寿英）
山路刑事（徳井優）
坂本課長（秋野太作）
市野清明（国広富之）
大里典子（星ようこ）
西谷刑事（石原和海）
海野鑑識官（小野寺丈）
牛尾澄枝（岡江久美子/回想）
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