「ガラスの城」 ネタバレ 感想~高嶋政伸が普通の刑事!?

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松本清張 二夜連続ドラマプレミアム 第二夜

松本清張『ガラスの城』

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三上田鶴子(木村佳乃)は杉岡久一郎(丸山智己)殺害の事件を調べ始める。
ほどなく的場郁子(波瑠)も自分と同じように事件を調べていることに気付く。
杉岡が殺された土には現場の土と山梨の土の二つの種類が混ざっていた。
三上はSNSの鍵付きダイアリーに記事をアップしていたが、事件を調べるのをやめるようにと脅迫めいたメッセージを貰う。
車内では的場が杉岡の自宅に乗り込み300万円の借金を返せと杉岡の妻に要求したと噂になっていた。
そんな時、浅野由理花(仁村紗和)が胃腸炎で入院。
浅野は修善寺の夜、鈴木信乃(蓮佛美沙子)と橋本啓子(川島海荷)が推し活をしていた話をする。
二人には杉岡殺害のアリバイがあったことになる。
そして浅野の母から出世したい一心で杉岡に取り入っていたもう一人の次長・富崎弥大(塚本高史)の妻が急死。
薬の飲み過ぎによる自殺!?
浅野由理花(仁村紗和)は富崎の妻・礼子の紹介で「實友商事」に入社したという。

三上はなんとなく事件に真相に気付く
「あの人を訪ねよう」という日記の最後。
二日後、三上は行方不明になる。
的場(波瑠)が静岡県警の刑事・倉田文則(髙嶋政伸)は、後輩刑事・佐原壮馬(満島真之介)が事情聴取される。
そこで的場は三上が事件を調べていたことを知る。
的場は「あの人」は浅野由理花(仁村紗和)の母ではないかと推理。
警察もそう考えていた。
「三上さんの日記を私に貸して下さい」
的場の推理では口封じのために犯人に監禁されているのかもしれない。
「三上さんの考えを検証して私も犯人にたどり着きたいんです。」

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的場は浅野由理花(仁村紗和)の母に会いに行く。
佐原壮馬(満島真之介)は的場をマークするよう指示されたので的場に同行。
亡くなった富崎(塚本高史)の妻・礼子からダリアの花を貰っていた。
とても変わった品種のダリア
礼子の実家は植木屋だ。
杉岡の遺体発見現場とも近い。
そして三上もこの話を浅野の母に訊いていた。
三上の足取りを洗う。
的場の勘が当たり、三上と同じ林田花壇にやってきた。
林田花壇には山梨からの木も運ばれていた。

林田花壇のダリアを会社に飾る的場
富崎からこのダリアを買った店を教えて欲しいと言われてしまう。
「あの花林田花壇のでしょ」
富崎は三上が事件に執着していたのは杉岡と男女の関係になったのではないかと推理
的場だって男女の関係があったのではないかと追求。
「三上が見かけたという浴衣の女は君だったんじゃないか
あの人とんでもない女好きだったから」
「そうか。杉岡次長はあなたの奥様とも男女の仲だったんですね」
杉岡のパーティでは奥様に呼び出されこき使われ、夫の富崎は守ってもくれない。
杉岡次長から奥様に声をかけ、誘惑に乗ってしまった。
あの修善寺の夜も杉岡部長に会いに言っていたのではないか
知り合いの娘でいある浅野に頼めば言付けもしてくれる。
杉岡は東京に戻ると嘘をついて富崎・母の宿で密会していたのではないか。
「もしそうだった場合、殺す動機があった事になります」
現場周辺には伯父の林田さんの花壇もある。
富崎妻は良心の呵責にたえかね亡くなったのではないか。
的場につかみかかる富崎
「何をしてるんだ!」
そこに野村(武田真治)がやってきた。
「富崎君の様子がおかしかったから心配になって後をつけてきた」

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的場は一連の話を佐原壮馬(満島真之介)に報告。
「的場さんも三上さんのアプリの日記読んだ。
どう思った徳に富崎くんのことだけど」
確かに富崎が怪しい。
ただ的場は三上の文章には隠し事があるんじゃないか
三上は浴衣の女性を見たと話せなかった。
そこから日記の流れが変わった
次第に富崎への疑惑がむくようになってしまった。

犯人は野村(武田真治)

野村は杉岡と富崎妻の不倫を目撃していた。
しかし自身も三上と男女の関係になる。
三上が真相に近づけば近づくほどピンチ。
林田農園の吉井玲は武田真治の妹で遺体遺棄の手伝いをして貰っていた。
杉岡は武田真治の妹にも手を出していた。

野村は的場の首を締めようとするが現行犯逮捕。

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都心にガラス張りの立派なオフィスを構える大手商社「實友商事」
これがいわば「ガラスの城」。
今時、このようなビルは都心でなくてもありそう。
発売当時(1976年9月)は珍しかったのか。
連載は1962年~とあり、加筆して発売。
何があったんだろう。
1977年の土曜ワイド劇場(長山藍子、長門裕之)映像化は未視聴。
2001年のテレ東(岸本加世子、洞口依子主演)は・・・見たのか??うーん。記憶にございません。

原作では第一部が「三上田鶴子の手記」第二部が「的場郁子のノート」から構成。
三上田鶴子が行方不明になり発見された「三上田鶴子の手記」を読み進める。
オチの部分をしって、ああそうか騙されていたのかとも思うんだけど。
三上の手記は全て事実だと思って読むからさ。
三上はいわゆる「お局」様。
この原作が発表されたころにそんな言葉はあったかどうか知らないけれど、今やその言葉は差別にあたる時代となっております。

しかし・・・キャストを見てびっくり。
てっきり三上が波瑠で的場が木村佳乃だと思っていたら、入れ替わってる!?
ってなことで色々変わっております。
原作の三上(年上)は早々に行方不明
そして原作の的場(年下)は杉岡と肉体関係を持っていた。
杉岡は好色男なんだですよねぇ。
部下や部下の妻にまで手を出す。
それを的場郁子(波瑠)が杉岡久一郎(丸山智己)と肉体関係を結んでいたという原作から、的場が杉岡に金を貸していたと設定を変更。
これはうまいと思いました。
しかし・・・途中で、やっぱり的場と杉岡は肉体関係あり。
しかも逆援助交際みたいな。
お金を借りるくせに的場を抱く杉岡。
めっちゃクズじゃね!?
半分の貯金を杉岡に貸したところで、的場から別れを告げる。
「もうお金貰えない」って感じの杉岡の顔が情けなかったね。

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松本清張の世界ではありがちの男女関係の乱れ。
でも・・・波瑠ちゃんと満島真之介がお似合いなのでこのまま付き合っちゃえよ!って思ったし(中の人ってわけではない)、案外付き合うのかなとか。
いきなり野村の殺されかけた的場を心配する同僚にホントの素顔を見せる的場とか・・・。
ラストシーンは松本清張の雰囲気は全くない。
これは脚本家・大森さんのオリジナリティーかな。
爽やかな最後すぎる。
加えて高嶋政伸がフツーだったからか。
クセでいえば、昨日の上川隆也さんのほうがクセあり人物だったからなぁ。
あ、でも犯人の武田真治がクセツヨだったか。
あんな胸板の厚い会社員はいない
張り切れんばかりのスーツですよ。
んで殺害動機が「嫌いだから殺す」とシンプル。
見た目は濃いのに。←関係ない。

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全く松本清張の雰囲気はなかったけど、これはこれでありっちゃあり。
脚本家さんの色も良く出ていたし、無理なく現代に置き換えられていたと思う。
最後の最後に犯人の独白は2時間ドラマあるあるだし。
その犯人の武田真治が「嫌いだからだよ!」って叫んだ殺害動機は、ちょっとコメディだったけど。
SNSに鍵付きだったとしても実名で推理日記をアップするのも危険。
そしてパスワードの検討がついた武田真治・・・ちょっと都合が良すぎるけどさ。
しかし木村佳乃の女心を弄びすぎだよなぁ。
被害者も最低だし、殺されても仕方ないような男だったけど、シンディもなぁ。
そんな二人が同期なんだから「實友商事」の人事は見る目がないなぁ。

原作は第一部の三上の手記はミスリードで、第二部の解決編(そんな名称ではないけれど)が大どんでん返し。
そこが痛快で松本清張の作品のなかでも好きな原作です。
この作品なら現代に持って来ても割とすんなり映像化できるだろうと思っていたのですが、そこは間違っていなかったようです。

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キャスト
的場郁子(波瑠)
三上田鶴子(木村佳乃)
鈴木信乃(蓮佛美沙子)
橋本啓子(川島海荷)
田口欣吾(内野謙太)
和島好子(野呂佳代)
浅野由理花(仁村紗和)
杉岡久一郎(丸山智己)
富崎弥大(塚本高史)
野村俊一(武田真治)
佐原壮馬(満島真之介)
倉田文則(高嶋政伸)

コメント

  1. kouta IH より:

    一昨日の「顔」は武井咲さんが転んでナイフを落とす所でリタイアしましたが、

    「ガラスの城」は大森美香さんが、松本清張作品を2サス王道仕様に上手く改編して戴いたと思っています。

    かつての「土曜ワイド」や「火曜サスペンス」のスタイルを上手く再現して、懐かしさも相まって、上手く嵌められてしまいました。
    それにしてもXの実況民は鋭いです、すぐに真犯人を見破り、終わり近くで悲鳴が飛び交っていましたから。

    ドラマファンは魅入っていたと思います。
    波瑠満島のコンビで連ドラの声も上がりましたから。
    (新年の挨拶は略します、そういう世相では無いですから)

    • tarotaro tarotaro より:

      kouta IHさん、コメントありがとうございます。

      「顔」はツッコミどころ満載の二サスでしたね。
      ま、オスカー制作の二サスはこんな感じ。
      やっぱりなぁと。
      「ガラスの城」では王道の二サスだったものの上手くまとめられていたと思います。
      真犯人、原作を読んでいたからそう思っただけかもしれませんが、そこまで意外性はなかったように思いました。
      波瑠さんは同じ事務所の片平なぎささんみたいに2サスにもしっくりきますね。
      満島真之介さんの明るさも2サスでは必要だなと思いました。

  2. 京介 より:

    はじめまして
    いや、犯人が動機を聞かれて「嫌いだからだよ!!」と叫んだのはいくらなんでもそれだけで殺人を犯すほどの動機ってわけではないでしょう。
    妹が犯され捨てられた件に始まり、その後もいろいろ高圧的な態度を取られて、その積年の様々な恨みが溜まっての犯行でしょう。
    それで動機を聞かれて、つい「嫌いだからだよ!!」と短く怒鳴って感情を爆発させたって感じでしょ。

    • tarotaro tarotaro より:

      京介さん、コメントありがとうございます。

      もちろん妹の件も、出世の件もあるでしょうけど、「動機は?」と聞かれ「嫌いだからだよ!」って言ったシーンがコメディっぽくて面白かったってことなんですが。
      言葉足らずで申し訳ありませんでした。