『黒い画集~証言~』ネタバレ感想~何もかも松本清張ではない

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松本清張「偽証」

あらすじはコチラ→公式サイト


原作:松本清張「黒い画集~証言~」


小林桂樹主演

偽証に苦しむ貞一郎(谷原章介)。
智久(浅香航大)には本当のことを話すが、苦しみから逃れることはできない。
逮捕された杉山(堀部圭亮)の娘は父の真実を信じて、谷原章介の息子・貞則(吉村界人)に近づく。
事件があった日、病院に行ったが父はいないようだったなぁと思い出す息子は母・西田尚美に相談。
妻・西田尚美から息子の話を聞かされた谷原章介は愛人・浅香航大のことを話せず、一夜限りの女と行きずりの恋をしたと嘘をつく。
夫婦だけの秘密にしようと西田尚美に提案された。

苦しみを分かち合えるのは浅香航大しかいない。
しかし浅香航大にも責められる。
家族のほうが大切で、自分自身のことが大切。
二人は喧嘩。
浅香航大は西田尚美に陶芸を教えていたので、家に遊びにきたりして。
谷原章介と浅香航大の仲はこじれにこじれる。
結局、浅香航大は身を引くことにした。
大学院を出たら東京に行く。
新しいパトロンも見つけた。
またもやノンケのふりをした妻子持ちのジジイ。



「最後に抱きたい?」
そう聞かれた谷原章介は浅香航大を押し倒す。
そしてクビを締める。
「僕はどんなに君を好きだったか。」
子供の頃からどれだけ苦しかったのか。
何にもわかっていない。
気がついたら浅香航大の息は止まっていた。←自分勝手な主人公

浅香航大の母が病院に訪ねてきた。
お医者さんにお世話になっていたと聞いていたのだ。
息子の性的嗜好なんて知らない母は純粋に谷原章介に礼を言う。
そして浅香航大の作品を谷原章介に渡す。



またまた良心の呵責に苛まれる谷原章介。
偽証しただけでなく殺人まで犯してしまった。
意を決して、妻に告白。
浅香航大との関係。
ずっと男性が好きで、偽装結婚だったこと。
ずっと嘘をついてきたこと。
驚く西田尚美。
自首するという谷原章介を物わかりよく受け入れる。
しかし・・・。
昼間、西田尚美は谷原章介のデスクから毒薬を見つける。
最後にウイスキーで乾杯しましょうと西田尚美。
もちろん・・・西田尚美は谷原章介を自殺に見せかけて殺害。

冤罪で逮捕された杉山(堀部圭亮)の事件は、運良く真犯人が見つかる。
空き巣に入った窃盗犯が自白した。



最後、谷原章介の家族や病院関係者の証言と、墓参りする西田尚美でエンディング。
松本清張作品は、最後がどうしようもなくモヤモヤするのが作風で。
全てを失う主人公ってのがエエとこなんですが、死んじゃったなぁ。

BL物って言っちゃなんだけどさ、設定からあらすじから殺された人物から罪名も変わるなら(当然時代も現代)、松本清張でなくても良かったんじゃないかって思う。
「偽証」をして主人公が殺人犯になるってのは2時間ドラマにもある話で
松本清張とうたわなくても、オリジナルとして発表しても、盗作だ!と思わないレベル。
それくらい何もかも違う。

自分が「偽証」したせいで、犯人が死刑になる(原作では)から悩むのではなく、主人公は自分のセクシャリティにずっと悩んでいたもんなぁ。
途中から杉山なんてどうでもよくて、偽装結婚したけれど愛人(浅香航大)が好きで好きで仕方ないから悩んでいたよねぇ。
これは、全く原作とかけ離れているわけです。
原作では”因果応報”で偽証したがために自分も殺人を疑われたりして・・・。
正直に証言したことで釈放されるも仕事も家族も失うという結末。
刑事に追い込まれることもなく、まさか自殺に見せかけられて主人公が死ぬなんてね。



谷原章介はこのドラマの為に減量したとか。
谷原さんはBLが似合うのかしらw
最初のラブシーンを見て、『腐女子、うっかりゲイに告る。』を思い出すよねぇ。
いや~。こういうラブシーンが上手いんだよねぇ。谷原さん。
浅香航大くんも。
こういう設定だとラブシーンばかりが話題になりそうだが。

映画では小林桂樹さんが演じておりまして、ドラマでは、須賀不二夫(1962年)、三國連太郎(1965年)、柳生博(1984年)、渡瀬恒彦(1992年)、東山紀之(2004年)。
柳生さんのは見たような見なかったような。
渡瀬さんは銀行マンで、東山さんは・・・見たんだけどなぁ。覚えて無いなぁ(苦笑)
渡瀬さんは銀行マンで、愛人役が有森也実で、奥さん岡江久美子さん。
当時、渡瀬さんはそこまで刑事役ばかりでなく。
刑事に追い詰められる渡瀬さんも良いなと思いました。

さて。何度もしつこいようですが。
「証言」なら現代にもうまくハマるかもしれないって思っていたんですが、これは全くの別モノ。
民放の松本清張作品はいつもガッカリなんですが、これはガッカリってわけでもない。
だけど・・・これを松本清張作品と言っても良いのかどうか。
ちょっと疑問が残る作品でもあった。





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キャスト
石野貞一郎・・谷原章介
石野幸子・・・西田尚美
梅沢智久・・・浅香航大
梅沢初枝・・・宮崎美子
杉山孝三・・・堀部圭亮
石野貞則・・・吉村界人
石野薫・・・・山田佳奈実
杉山沙紀・・・高月彩良

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